劇場版『モノノ怪』のキービジュアルが公開されてテンションが上がったのは私だけではないはず。そして、同時に初めて薬売りさんを見て、気になった人がいるはず!
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今こそ布教のとき!
というわけで、映画に備えて今回はテレビアニメ『モノノ怪』のあらすじや見どころについて書いていこう。初見の方に楽しんでもらえるようにネタバレはなし。
『モノノ怪』とは
出典:©モノノ怪製作委員会
『モノノ怪』とはノイタミナ枠で2007に放送されていた和製ホラーアニメである。5エピソードを全12話で描いている。
独特の世界観や魅力的なキャラで話題を呼び、熱烈なファンを多く抱える作品。
元々はノイタミナ枠の前作『怪 〜ayakashi〜』のなかの1エピソード「化け猫」の続編として制作されたが、「化け猫」を見なくても楽しめる構成になっている。
劇場版がクラウドファンディングにて制作されて、2023年に公開予定だったが、主演声優の櫻井孝宏氏の起こしたトラブルが原因で延期。主演声優を神谷浩史氏に交代することで、2024年夏に公開が決まった。
あらすじ
人の情念た怨念が取り憑いたアヤカシは人に害を成すモノノ怪となる。それを斬るために、退魔の剣を携えて各地を旅をする男・薬売り。薬売りはモノノ怪を斬るために、それの「形」「真(まこと)」「理(ことわり)」を知るために関係者から事情を探っていく。モノノ怪を成した人の心とは…。
見どころ
和紙テクスチャによる独特な作画
出典:©モノノ怪製作委員会
『モノノ怪』を語る上で外せないのが、和紙テクスチャによる独特の作画である。このテクスチャによって演出される、和の雰囲気は和製ホラーの世界観にマッチしている。
『モノノ怪』はサイケデリックな配色の小物や背景色があるが、和紙テクスチャを通すことで鮮やかでいて、どこか柔らかさを感じさせる雰囲気に仕上げていて、美術的にも完成度が高い。
和紙テクスチャは背景だけではなく、キャラにも施されているのでキャラだけが浮くこともなく、よく馴染んでいて、どこを切り取っても1枚の絵のようなクオリティになっていて、印象深さを与えてくれる
個性豊かなキャラ
出典:©モノノ怪製作委員会
『モノノ怪』はキャラクターデザインが奇抜なものが多い。特に、主人公の薬売りは端正な顔立ちに変わったメイク、派手な配色の着物に大きな薬箱を背負っていると目を引くデザインとなっている。
ちなみに、薬売りのデザインの元ネタは歌舞伎の外郎売(ういろううり)である。(この外郎はお菓子のういろうではなく薬を指している。)着物の柄は蛾がモチーフとのこと。
作中ではちんどん屋とも評されたことのある奇抜な恰好なのだが、この見た目が薬売りのミステリアスさを演出していて、彼の魅力の一つだ。
薬売り以外は毎回ゲストキャラで構成されているのだが、ゲストキャラたちも一目みたら忘れられない個性の強いデザインが多い。
しかし、個性の強さはくどさを感じないように絶妙なさじ加減がされていて、作品に彩りを与えている。
人の情念が絡み合うストーリー
出典:©モノノ怪製作委員会
アヤカシに人の情念や怨念が取り憑くことで、モノノ怪が生まれるという設定であるため、人の心の描写が繊細かつ生々しくストーリーに絡む。
生まれたかった、醜い心根を隠したい、自分の心を殺す、馬鹿にされた、嫉妬、見下すなど様々な思いがそれぞれのストーリーの裏で蠢く。
直接的だけではなく比喩や暗喩を交えて語られるキャラの内面はストーリーにさらなる深みを与えていて、ときにおぞましく、ときに胸を打つものとなっている。
考察の捗る背景美術
出典:©モノノ怪製作委員会
本作の背景には有名な日本画や絵画が散りばめられている。これらは、キャラの心情や場面の暗喩や隠喩としての意味がある。
作中では詳細に語られない事柄も、これらの絵画を通して考察できる構成になっていて、意味を汲み取りながら見るのも楽しみの一つになる。
何度も繰り返し見ることで新しい発見があるのも『モノノ怪』の魅力である。
映画に舞台と公式供給たっぷり
劇場版は2024年夏に、さらに舞台『モノノ怪〜座敷童子〜』が2024年3月から公演されたりと公式供給がたっぷり味わえる。さらに、グッズ販売も沢山されているので、公式にたくさんお布施ができる!
放送から15年経っても愛されている証拠だ。本当に嬉しい。
まとめ
私が初めて『モノノ怪』に触れたのは不登校真っ盛りの中学生の頃。深夜にぼへっとテレビを流し見していたら、流れてきて夢中になったのを覚えている。
そこそこアニメを見てきて、若干の飽きすら感じていた頃(非常に生意気である)だったが、斬新な画面やあえてすべて語らないキャラの内面、深みのあるストーリーに沼っていた。
櫻井氏のことは残念で仕方ないが、神谷氏なら薬売りのキャラ性を表現できる安心感がある。劇場版を楽しみしよう。
アニメ『モノノ怪』はAmazon prime Videoにて配信されているので、気になった方は是非見てみて欲しい。
ちなみに、アニメ版を見るにあたって櫻井氏の声が気になるという人は、コミック版がおすすめ。原作の雰囲気、世界観、絵をそのまま漫画にした完成度の高すぎるコミック版を読んでから劇場版でもまったく問題ないと思われる。
とても、いい作品なので自分にあった方法で触れてほしい。今度は各エピソードについて書いていきたいな。