
パート先の人手が足りず、休日出勤をこなしているとやはり疲れが溜まる。そんな疲れを癒やしてくれるものといえば、食事。毎日毎日食べて食べまくったおかげで見事に体重増加に成功した。悲しいかな。
今回は、人生の楽しみの一つ「食」を描いた窓口基先生によるちょっと尖ったグルメ漫画『サイバネ飯』を布教したいと思う。
あらすじ
サイボーグが普及した世界。生身の内臓を失い、人工内臓に置き換えられた者は、生身の頃と同じ食事はできない。
そのため、彼らはサイボーグ用に作られた専用の食事を食べ、生身だった頃と同じように食を楽しんでいた。
しかし、サイボーグ用の食事は一風変わっていて?
見どころ
美味しそうで美味しくなさそうな食事
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出典:『サイバネ飯』©窓口基
本作に出てくる食事の数々はサイボーグのために作られたものであり、生身の人間は食べられないものとなっている。
例えばサイボーグ用の「野菜」は、一度野菜をペーストに加工したあとに、再度食感等を実際の野菜に近づけて成形加工する。
一応人間食べることは可能であるそうだが、本物の野菜とは程遠い形容詞がたい味と食感になるとのこと。
しかし、作中で描かれるものは美味しそう。ラーメンやサンドイッチなど、生身の人間と使ってる食材は違えどメニューはほぼ一緒。
思わず食指が動くが、味の実態を知ってしまうと途端に美味しそうに見えなくなるのが面白い。
キャラのデザインが強すぎる
出典:『サイバネ飯』©窓口基
主人公からサブキャラまでとにかくキャラが濃い。宮地さんは1話が始まる前に頭部を事故で破損してしまったため、頭部デザインが毎回変わる。それでも、宮地さんだと分かる。作者の力量に感動。本当にすごい。
私が一番好きなのは宮地さん。毎回頭部デザインが変わるので、ちょっと楽しみ。食事の際の口のデザインも変わるのだが、THE・機械から生っぽいものまで様々あって面白い。
宮地さん以外にも人型のサイボーグがたくさん出るが、ときに人型ではないサイボーグも登場する。
そして、人型であるから、生身に近いということはなく、人型ではなくとも生身の内臓を有している場合もある。
一目だけでは区別がつかないのも魅力的だと感じる。
サイボーグ以外にも生身の人や、電脳空間で生きる脳だけのキャラなどもいてデザインだけではない、魅力もある。
作り込まれた世界観
出典:『サイバネ飯』©窓口基
作中では、主にサイボーグの食事事情がメインとなっているため、食の世界観の作り込みがとにかく細かい。作中だけではなく、合間に挟まれる細かな設定の説明などが読んでいて本当に楽しい。
食事1つとっても何が使われていて、どのくらい美味しいのかが書かれてたり、サイボーグの味覚については地道な調整が必要で、個人の記憶と密接な関係にあるなどなど、様々なことが詳細に作り込まれている。
さらに「食」以外の設定で言うと、1話で宮地さんとタケが透析を行なっているが、なぜ透析治療を行っているのかは本編内では明かされていない。
Kindleの話と話の合間には理由について詳しく書かれている。サイバネ腎障害によって透析治療が必要であることや、サイバネ透析はどんな内容のものなのかなど事細かに書かれている。
ストーリーの主軸はあくまで「食」なので、世界観の補完は別で行われていて、それを読むことで作品の理解度が上がる。
理解度が上がってから再度読むことで「なるほど」とキャラの言動への納得ができて気持ちいい。
個人的に一番好きなところは、1話でラーメンを食べる宮地さんから「キュウッ」という音が鳴るのだが、初見だと何の音かわからずスルーしてしまった。
しかし、この音が宮地さんの顔に頬がないため、麺を啜ることができないので体内のコンプレッサを使って口腔内の陰圧を上げている音だという説明を見たときは度肝を抜かれた。
そこまで考えで書いてるんだと本当に驚いた。
こういったこまかい設定集とか見ることが好きな人には刺さると思う。
裏側に隠されたシリアスな設定
出典:『サイバネ飯』©窓口基
コミカルなキャラの言動の裏にシリアスな設定が垣間見えることがある。
たとえば、トドロキさんという大型サイボーグは、過去に姉妹機が存在していたが、すべて悲惨な死を遂げている。そして、その死は公には記録されておらず、トドロキさんの記憶の中だけのものである。
本編開始前に起きたことは、けっこうシリアスなものである様子。
そのあたりに、想像を馳せるのも本作の楽しみの1つだと思う。
「食」は人生を豊かにする
出典:『サイバネ飯』©窓口基
サイボーグ化しようとも、脳みそだけになって電脳空間で生活していようとも、生きている限り「食」からは離れられないのだと感じた。
食べることは生命維持に必要なことであり、そして美味しいものを食べることは人生を豊かにするために必要なことなのだと。
不味いものを率先して食べようという人は少ないだろうし、そもそも不味い食べ物を食べるとストレスを感じてしまう。
だからこそ、サイボーグ用ものもサイボーグにはきちんと美味しいと感じられるように工夫されていることがわかる。
たとえば、湯気の表現の工夫が面白かった。サイボーグの中にも生身の内臓が残っていたり、人工内臓のために温かい料理で活性を促すそうだ。しかし、それだけではなく湯気という視覚情報が「食」の満足度につながるという。
たしかに、ほかほかのご飯を見るだけで食欲が湧いてくるし、熱々のラーメンなんて垂涎の的だ。
さらに、電脳空間においても、「食」は楽しみの1つとなっている。現実では食べられないVRならではの、絵画や音楽などを食べることができる。人の食への探究心は留まることを知らないのだと感心する。
個人的に巨大飯を食べたい。電脳空間の話は読んでいてお腹が減る。
まとめ
本作はSF、サイボーグ、一風変わったグルメ、作り込まれた世界観と設定が好きな人におすすめとなっている。
窓口基先生は『サイバネ飯』以外にもたくさんの作品を書かれているので、もっと窓口基先生の世界観を味わいたい方には『ファーストコンタクト』がおすすめ。
※こちらには『サイバネ飯』も収録されており、Kindleの無料版と内容が被ってます。



