
久しぶりにブログを更新…!『エルデンリングナイトレイン』に沼ってズルズルしていたらこんなに期間が開いていた。驚き。
最近は、kindle Unlimitedに加入して気になっていた本を少しずつ漁っており、そのなかで呼んで面白かったものを紹介しようと思う。
今回布教するのは『不浄を拭うひと』。作者は沖田×華先生。ドラマ化した『透明なゆりかご』と同じ作者である。
ゆるい絵から繰り出される人間模様は心に刺さって残るものばかり。『不浄をぬぐう人』も心に残る話ばかりとなっている。
『不浄を拭うひと』のあらすじ
特殊清掃員として働く山田正人は日々様々な場所へ赴く。孤独死した人の部屋、ゴミ屋敷、自殺のあった部屋など、通常の清掃でとれない汚れ、臭いを取り除き、綺麗にしていく。
そのなかで死んでしまった住民の死に方、生前の様子、遺されたものたちが見えてくる。ときにトラブルに見舞われつつも正人は奮闘してく。
『不浄を拭うひと』の魅力
死に方は選べない
出典:『不浄を拭うひと』©沖田×華 / ぶんか社
本作に出てくる人たちの死に方は壮絶なものが多い。孤独死、病死、自殺などばかりだ。文字で見るとニュース等でよく目にするため、「あるある」だと感じられるかもしれないが、言葉の中身がわかると恐怖とやるせない気持ちで胸が締め付けられる。
たとえば、自殺によって亡くなった女性の話は凄惨で、そして現代においてはよくありそうな「事故」だと感じた。
その女性はアパートの一室で自殺したのだが、本人には自殺する気がなかった。自殺未遂の失敗で死んだのだ。情緒不安定だったのか、構ってちゃんというものだったのか、女性は過去にも睡眠薬を服用して手首を切って救急車で運ばれていた。
そして、ついに手首を深く切りすぎたことで失血死。しかし、失血死するまで本人には意識があり、部屋中をのた打ち回り苦しみもがいたため、室内は血だらけとなっていた。
まるで殺人現場のような惨状には遭遇したくないし、自分がそんな目に遭うのもごめんである。しかし、人は死に方を選べないのだとも思わされる。
死ぬ気がなかったのに死ぬ。ほとんどの人はそうだろう。どんな人も「明日は来る」と漠然と思っている。
作中で「悲惨な最期を迎えたとしても、その人たちの生活自体が悲惨であったということにはならない」「そう思うと、亡くなった人たちも人間として一つの人生をまっとうした」というセリフがあり、死に方を選べなかったとしても、それが必ずしもその人の人生を否定するものにならないと感じさせてくれる。
ゴミか屋敷に住む人々
出典:『不浄を拭うひと』©沖田×華 / ぶんか社
特殊清掃の対象となる人たちの家は往々にしてゴミ屋敷と呼ばれるようなものが多い。ゴミ屋敷に住んでいるのは一人暮らしの高齢者や心のバランスを崩してしまった人、だらしない人など様々。住人はゴミの山の中でどのように生活していたのか、どんな人だったのか。
ゴミ屋敷の中身の大半には居住者の基本的な生活スペースが確保されていることが多らしい。すり鉢状にゴミが積まれており、その真中で生活しているひとがほとんどだという。作中では「アリ地獄」と呼ばれている。
ゴミ屋敷の清掃依頼は住人だけではなく、管理人や親族などからされるよう。印象部かかったのはネット上で心霊物件として有名な家の話。この家には80代の女性が住んでいて認知症を患ったことで家がゴミ屋敷になったという。
この家には引きこもりの50代の息子が住んでいるが、長年の引きこもり生活に寄って生活能力は皆無であり、認知症の母親を支えることなど到底できない。それゆえに生活は破綻してしまった。
高齢者は体力の低下や認知症により生活能力が落ちてしまい、ゴミ屋敷になりやすいのだ。ゴミ袋には入っているが、それをゴミ捨て場に持っていくことができない。そのため、家中にゴミ袋が溜まったり、買ったが忘れてしまうのか、食べきれないのか腐ってその辺に転がっている。それが原因で虫が湧いたり、家を痛めてしまったり、異臭が周囲に漏れてしまったりなど、住人だけではなく近隣住民にも迷惑がかかることも。
こういった高齢者や心のバランスを崩してしまった人には必要な支援が届くようになればいいなと思う。
この他にもゴミ屋敷の住民にはただだらしないだけの人という人もおり、トイレ掃除を怠ったり、ゴミでトイレが塞がって行けなくなったためにペットボトルなどの容器に尿を入れるという通常では考えられない行動を起こすことも多々ある模様。
私も掃除は苦手でだらしない自覚のある部類の人間ではあるが、ここまでにはなりたくないと震えた。
ちなみに、ゴミ屋敷をつくる人は女性の方が多いらしい。
遺族の気持ち
出典:『不浄を拭うひと』©沖田×華 / ぶんか社
家族が亡くなって悲しいと感じることができる人は幸せな人なのだと思う。中には家族が亡くなっても悲しいとは別の感情を持つ人がいる。本作にも様々な人が出てくる。
母親が父親とともに自殺する話がある。幸い遺体の発見が早く、家の汚染は最小限で済んだ。発見者は母親に困らされていた息子だった。息子は昔からヒステリックな母親に困らされ続けており、家を離れたあとも母親から「死んでやる」という電話が何度もかかってきてい、耐えかねた息子が「死んでくれ」と言うと、いつものように泣き叫ぶわけではなく一言謝罪を残した。そして、息子が様子を見にくと死んでいたのだ。息子は「やっと終わった」と思った。
この他にも、偏屈な高齢の母親が孤独死したという知らせで、遺産をホクホク顔で待っていた娘夫婦は自分たちに遺産が少しも入らないと知って怒り狂ったりなど遺族も十人十色なのだと感じた。
しかし、別に遺族が薄情と言うわけでない。親が死ねば無条件に悲しいというわけがなく、それまでの関係性が大きく影響する。生前に良い関係を築けなければ情が残らず悲しむことはないのだろう。
まとめ
社会問題が盛り込まれつつ、重くなりすぎないよう描写に気が使われていたりして、読みやすい。死を取り扱う以上グロテスクな表現や虫(蛆など)を書かなければならないが、虫がホストやキャバ嬢、赤ちゃんといった感じで表現が緩和されている。
しかし、死に方に関しては絵柄でも誤魔化しきれなくて本当に怖い。
沖田先生自身が病院に勤めていらしたことがあるので、死はとんでもなくリアルに感じてしまうので、そういったものが好きな人にはおすすめ。
ちなみに、『不浄を拭うひと』はkindle Unlimitedにて1巻~9巻まで読み放題。
初回登録で30日間無料のほか、キャンペーン開催時には割引もあったりお得。
無料や割引期間が終わったあとは月額980円で利用可能。対象書籍は500万冊以上で、漫画やラノベも対象。
対象は1巻だけなど、限定的なものもあるが試し読みの数ページだけで世界観や空気感が掴めないときに、1冊を最後まで読めるのはありがたいのでオススメ。


