Youtubeのアニメタイムズ公式チャンネルで2024年1月30日から同年3月1日の12時までの期間限定で配信しているので、5話に続いて、アニメ『蟲師』6話「露を吸う群れ」について、あらすじと見どころを書いていく。
前回の5話「旅をする沼」はこちらから
あらすじ
ナギという少年の依頼で彼の生まれ故郷の島へやって来たギンコ。その島は土が少ないために田畑を作れず、貧しい生活を送っていた。
そんな島には生き神と呼ばれる存在がおり、島民たちの心の拠り所となっている。しかし、ナギは生き神となったために様子が変わってしまった幼なじみのアコヤを助けたいというが…。
見どころ
老いる描写
生き神となったアコヤの体は「蟲」によって、1日で一生を終えて次の日に生き返り、また1日で一生を終えるというサイクルになっている。
このとき、急激に老いるのだがこの老いの描写がどことなく怖いのだが見入ってしまう不思議シーンとなっている。黒髪が頭頂部から白髪に変わっていき、皮膚がたるみ深いシワが刻まれていく過程の描写が丁寧にされている。
若い女の子が急激に老婆になるという異質な光景にどこか神秘さを感じてしまうシーンだ。
歪な親子関係
アコヤの父は蟲を悪用して、アコヤを生き神に仕立て上げて私腹を肥やしていた。娘のアコヤのことを出来はよくなかったなどと言うなど、とても好感が持てる人物ではない。
しかし、そんな父親であろうとアコヤにとってはたった一人の父であり愛していたのだとわかる。父親の亡骸に縋り泣く姿は歪な親子関係を表している。
親子関係が円満であれば、また違った結末があったかもしれない。
アコヤの幸せ
アコヤは蟲の寄生によって、1日で一生を終える蟲の時間感覚で生きていた。そのため、アコヤは1日に起こる全て、目に見えるものすべてが新しく感じて心満たされていた。
しかし、ギンコの治療で蟲を体内から出すと、人間の時間間隔に戻ってしまった。蟲の時間で生きていた頃は1日ですべてが終わっていたのに、人間に戻ってしまえばいつ終わるのかもわからない膨大な時間が待ち受けていることに、アコヤは恐れを抱く。
アコヤが最後に選んだ道は見る人によって感じ方が変わるかもしれない。求めるものや幸せの形は人それぞれ違うのだと思わせてくれる描写となっている。
アコヤの最後の選択時にかかるed曲はどこか悲しげで、それでいて優しげであるのも印象深い。
まとめ
「露を吸う群」はギンコが相手を助けるために尽力しても、最終的にどうなるのかは当事者本人の選択で決まるという作品のスタンスが強く表れている話だと思う。
自由を求めたナギとある種の束縛を求めたアコヤは対称的だ。一般的にナギの方が幸せそうに見えるかもしれないが、そんなものは他人が勝手に決めつけているだけであり、アコヤの選択もまた一つの幸せなのは間違いない。
ナギはアコヤの選択を受け入れて、前向きに生きてくために目の前の膨大な時間と向き合っていく。切ない中にどこか力強さを感じる話だった。
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