Youtubeのアニメタイムズ公式チャンネルで2024年1月30日から同年3月1日の12時までの期間限定で配信しているので、7話に続いて、アニメ『蟲師』8話「海境より」について、あらすじと見どころを書いていく。
前回の「雨がくる虹がたつ」はこちらからどうぞ
あらすじ
とある、漁師町にやってきたギンコは、沖で妙な別れ方をした妻を待っている男に出会う。男・シロウは海にいる「蟲」の影響で、妻・みちひが行方不明になってしまい、生死がわからないために2年半経っても諦められないでいた。
やがて、シロウは少しのきっかけで漁師町に馴染んでいったが、みちひのことを忘れることはできなかった。そんななか、海に異変が起きてきて…。
見どころ
船を持ち上げる蟲たち
前の記事の方でも書いているのだが、本作に登場する「蟲」たちは手書きである。今回の蟲たちも例に漏れず手書きなのだが、蛇のような蟲が一匹一匹にょろにょろと水中を蠢く姿が、本当に命があるようで素晴らしい。
そして、その多数の蟲たちがひとつの姿になり船を持ち上げる様が強い。あんなものに遭遇しようものなら助からないだろうと思わせられる。
みちひに陸が見えなかった理由
蟲の出すもやは外からはなにも見えないが、内側からは不思議と外がよく見える性質になっている。しかし、陸を見るためには陸へ戻りたいという気持ちが必要だという。
シロウは別の船に乗るみちひにこっちへ来いと声を掛けるが、みちひにはシロウの船の姿も、おそらく陸すら見えていなかった。なぜ、みちひにだけ陸が見えていなかったのか。
みちひは、シロウの故郷に向かう船に乗る前にシロウと喧嘩をしている。シロウが自分の父から追い出されても、シロウを慕って付いてきたというのに「生家へ戻ってもいいんだぞ」とシロウに言われてしまい、みちひは傷ついてしまう。
みちひはそれでもシロウを慕っていたから船に乗ったが、シロウの言葉をずっと気にかけていたと思われる。
みちひにとって、陸=生家のある場所であり、もう戻らないと決めた場所であったことから、陸が見えなかったと考えられる。
みちひは可愛らしいキャラなので、みちひの気持ちにも注目して欲しい。
後悔して待ち続けた男の葛藤
シロウはみちひの実家の跡取りの予定であった。しかし、みちひとの婚約を同期に妬まられたのをきっかけに、追い出されてしまうこととなった。
このことで、不貞腐れてしまったシロウは慕ってついてきてくれたみちひに八つ当たりのような言葉をかける。船に乗って少し冷静になったシロウは陸についたら謝ろうと思うが、蟲に遭遇したたためにみちひに謝ることなく別れてしまう。
シロウはみちひの生死がわからないために、僅かな希望を捨てきれず2年半も待ち続けていた。傷付けてしまったことを自覚していたからこそ、後悔がこびりついて囚われてしまう。
その後は、ちょっとしたきっかけで町の人達に受け入れられて、少しずつ前向きになっていく。しかし、心の底ではみちひを気にしている。
そして、ギンコの手伝いの元、みちひと再会したシロウは陸がどこにあるかわからなくなっていた。
しかし、ギンコの背にある本物の陸が見えたり消えたりしていることから、シロウが陸での新しい人生とみちひと過ごした人生へ葛藤していることが、見て取れる演出になっている。
まとめ
喧嘩別れをしてしまうと、後悔が心にこびりついてしまう。シロウもみちひに酷い言葉をかけたことを謝ろうとしたが、謝る前にみちひはいなくなってしまった。もうどうにもならないことほど、ずっと忘られない。そこから、前に進めるかは人次第だと思う。
最後のシロウの声色は複雑な心境を表していて、声優さんの演技が光っていて、好きなシーンのひとつ。
「海境より」は後味が良いとは決して言い難い終わり方をする。それでも、どこかスッキリしたように感じる不思議な感覚が残るものとなっている。
すべてうまく行くことの方が稀な『蟲師』らしい話だと思う。
作中でギンコが海千山千の話をしてくれるので、元ネタがわかりやすい。中国の故事に由来しているもので、海に千年、山に千年に生きた蛇は竜となるという。
蛇と竜は同一視されることも多く、さらにどちらも水と深い関わりがあることから、海で竜となるという設定にしたのかなと思った。
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1話はこちらから