今回布教したいのは、ゲーム『歪みの国のアリス』。ナイトメアプロジェクトから配信されているホラーADVで、選択肢によってストーリーが分岐するマルチエンディング採用のゲーム。
元々はガラケーの買い切りアプリとして配信開始されたゲームなのだが、コアなファンが多いことからスマホ版、Switch版、さらには小説、児童文庫と定期的に公式供給があるありがたい作品だ。
タイトルの通り、『不思議の国のアリス』がベースになっており、登場キャラの名前も本家に習ったものがいる。
ホラーであるが、幽霊ものではなく、グロテスク系(血・切断など)で、精神的なトラウマを扱っている。
またコミカルなシーンが多く、笑って泣けるホラーゲームとしてファンに愛されている。
『歪みの国のアリス』のあらすじと私が個人的におすすめなだと思うポイントをまとめてみた。
『歪みの国のアリス』のあらすじ
放課後の教室で目覚めた主人公・葛木亜莉子は、眼の前に突如現れた灰色のフードの男の・チェシャ猫に話しかけられる。
チェシャ猫は亜莉子のことをアリスと呼び、「さぁ、シロウサギを追いかけよう」と言う。
この出会いをきっかけに歪みの国に飲み込まれて、亜莉子はアリスとして、シロウサギの行方を追う。
シロウサギの正体とは。そして、その先に待つ真実とは…。
『歪みの国のアリス』のおすすめポイント
愛しさと恐怖を持ったキャラ
出典:『歪みの国のアリス〜リコレクション〜』©NightmareSTUDIO
本作に登場するキャラたちは見た目のインパクトが強い。アリスと行動をともにチェシャ猫は、灰色のフード、三日月型の口と猫の要素がほぼない。
最初はその外見から不気味さを感じてしまうが、ストーリーを進めるうちに、チェシャ猫なしでは生きられない体にされてしまう。
いざというときには助けてくれて、恐ろしい目にあってもそばにいてくれる存在はとても大きい。そして、たまに見える猫の仕草に愛おしさを感じてくる。
こういった、どこか見た目が不気味でも、性格や行動に可愛らしさを感じるデザインが魅力的なキャラが複数出てくる。
そして、見た目が可愛くとも行動が可愛くないキャラが居るのも、メリハリがあって大変良い。
ちょっと変わったデザインが好きな人には刺さると思う。
コミカルな中にある恐怖
出典:『歪みの国のアリス〜リコレクション〜』©NightmareSTUDIO
主人公のアリス(亜莉子)はツッコミ気質な性格であるため、歪みの国で起きる常識外れなことにどんどんツッコミを入れていく。
そのため、アリスのツッコミによるコミカルなシーンが多く存在する。
しかし、締める部分はぎゅっと締め過ぎなくらい締めてくれるので、ストーリーに絶妙な緩急が生まれて、グイグイ引き込まれていく。
アリスのコミカルなシーンで笑っていたら、突然血みどろな展開になったりする。特に前半はこういった流れが多い。後半になるとじんわりと侵食してくる狂気的なホラーを味わえる。
出典:『歪みの国のアリス〜リコレクション〜』©NightmareSTUDIO
ホラーが苦手という人でもアリスの性格のお陰でプレイできたという声もあったりしたので、ホラーが苦手な人にも楽しめるストーリーになっている。
私はホラー大好きで、ただ怖いだけというのも好きだ。しかし、たまに気が抜ける方が、ホラー演出が来たときにより怖い思いをできると思っている。
アリスの抱えるトラウマ
出典:『歪みの国のアリス〜リコレクション〜』©NightmareSTUDIO
ストーリーを進めていくと、アリスがなぜ歪みの国で真実を探すことになるのかが明かされていく。その過程で描かれるアリスの過去は壮絶なものとなっている。
父の死をきっかけに壊れてしまった母。そのなかで、必死に求めた愛情。その結末は、凄惨極まりないもので、アリスの心情を思えば思うほど切なくなってしまう。
子供の頃にプレイしていて、本当にきつかったのを覚えている。特にアリスの「私はおかあさんに殺されるような惨めな子じゃない」という台詞が印象的だった。
大人になってプレイしなおしても、この台詞でメンタルがやられてしまうのだが、個人的に泣ける場所だと思うのでおすすめポイントとして紹介する。
複数の視点で見る真実
出典:『歪みの国のアリス〜リコレクション〜』©NightmareSTUDIO
『歪みの国のアリス』はマルチエンディングが形式になっていて、ノーマルエンドが10個、トゥルーエンドが5個の計15個が用意されている。
ノーマルエンドはアリスが自身の中の真実を知ることを拒否すると辿りつき、死亡、もしくは精神に異常をきたして終了する。(コミカル描写一切なしなので、目茶苦茶怖い)
トゥルーエンドはすべて繋がっていて、アリス以外の人の視点から真実が語られるものもある。
トゥルーエンドをすべて見ることで、すべての真実が明らかになる。
『歪みの国のアリス』は伏線の張り方が上手で、一旦解決したように見せかけて、実は…という展開への持って行きた方が、先を見たいという気持ちを刺激してくれる。
そして、すべてのエンドを見て真実を知ったとき、どこかスッキリしないような、でも前向きになれるというなんとも言えない気持ちになる。しかし、それが作品の魅力の一つとなっている。
シーンにあったBGMの数々
出典:『歪みの国のアリス〜リコレクション〜』©NightmareSTUDIO
『歪みの国のアリス』のBGMはシーンにあったものばかりで、耳に残るものが多い。
オルゴール曲が特に多くて、悲しげなものからどこか不気味で怖いものと幅広く、恐怖シーンでかかる「絶体絶命」という曲はタイトルにふさわしい危機感溢れるものとなっている。
(昔どうしても起きないといけないときにアラームに設定して、鳴った瞬間に強すぎて心臓が跳ねたことがある)
メインテーマの「My Sweet Pain」はかかる場所も神がかっていて、プレイしていて鳥肌が立ったのを覚えている。
アリスの心境を色濃く表したBGMの数々は魅力に溢れている。オルゴール曲が好きな私には刺さりまくった。
『歪みの国のアリス』アプリ版とSwitch版の違い
『歪みの国のアリス』はスマホ版(IOS版・Android版)とNintendo Switch版が配信されている。
出典『歪みの国のアリス〜Encore〜』©SUNSOFT/ナイトメア・プロジェクト
スマホ版は基本無料である代わりに、1日に読める量に制限がある。これは、課金することで無制限で読めるようにるほか、昔公式ホームページにて公開されていたキャラコラムやキャラコメンタリーが読める。
出典:『歪みの国のアリス〜リコレクション〜』©NightmareSTUDIO
switch版は買い切りで、スマホ版と違い横画面になっている。また、テキストスキップやオート機能を追加、BGMがリファインされた。
画像ギャラリーやムービーギャラリーも見れるよ【うになったが、キャラコラムが未収録。
お手軽に触ってみるならスマホ版を、横画面高画質で腰据えてやりたいならswitch版がおすすめ
小説版も読み応えバッチリ
『歪みの国のアリス』は小説版が発行されていて、原作シナリオに忠実な出来となっている。
挿絵も可愛らしく、時に恐ろしく描かれていて『歪みの国のアリス』の世界観に浸れるようになっている。
トゥルーエンドを組み合わせて一本筋のシナリオに構成し直されていることと、グロ部分が少なめになってきて万人に読みやすい作品となっている。
児童文庫版も発売されていて、幅広い年齢層で楽しめるようになった。
ホラーの中にある切ない優しさが色んな人の心に残ると思うと嬉しいな。
まとめ
私が『歪みの国のアリス』を初プレイしたのは小学生の時で、それからアラサーになるまでずっと追いかけていた大好きな作品。
この作品を通して、人の裏にある罪悪感や恐ろしさ、優しさをたくさん知れた。
年を取るごとに、目線をアリスからアリス以外にも向けられるようになって、より作品の深みを知れたりと、何度読み返しても面白いのがいい。
わりと、コアな作品で知っている人が少ない気がしたので、今回布教記事を書いてみた。
この記事をきっかけに知ってくださった人は、是非触れてみて欲しい。優しい悪夢がずっと心に残ること間違いなしなので。
余談だが、私の推しはチェシャ猫なのだが、人間の推しはアリスの叔父。
出典:『歪みの国のアリス〜リコレクション〜』©NightmareSTUDIO
怖い顔で不器用だが、優しい人。そして、過去の選択を悔いている人間味が愛おしくなる。