
今回はマンガ『黄泉のツガイ』を布教・紹介したいと思う。
『黄泉のツガイ』は『鋼の錬金術師』や『銀の匙』などで有名な荒川弘先生のマンガで、ジャンルはバトル。荒川先生節が強く効いた作品。
実は、この作品は1巻が出てすぐ買っていたのだけれど、3巻まで買ってしばらく金欠で4巻以降を買っていなかった。しかし、どうしても続きを読みたい欲に支配されて、4巻以降を衝動買いして一気読みした。
これはとんでもなく面白い作品だと、改めて思い知らされた。そして、これは布教せねばと強く思ったので書くことにした。
まだ読んでいない人、気になっている人の参考になれば幸い。
あらすじ
山奥にある小さな村「東村」で暮らしていた主人公・ユル。ユルには双子の妹・アサがおり、自然の中で狩猟したりと暮らす兄とは反対に、暗い座敷牢の中で「おつとめ」をしていた。ユルはそんなアサを大事に思い、贈り物をしたりと仲睦まじくしていたが、ある時突然、謎の集団に村が襲撃されてしまう。混乱の中、本物のアサを名乗る少女が現れる。
突然のことに状況を飲み込む暇もないまま、ユルは村の守り神である「ツガイ」の左右様と契約をして…。
魅力
迫力あるバトルシーン
出典:『黄泉のツガイ』©荒川弘/スクウェア・エニックス
『鋼の錬金術師』などでも発揮されていた荒川弘先生の、迫力あるバトルシーンは今作でも健在。
ツガイと人間が一緒に戦ったり、ツガイ同士での戦い、人間同士の戦いなどバトル内容も豊富で、常にワクワクできる。
ツガイによる能力バトルは能力に驚かされたり、単純な強さののぶつかり合いだったりと迫力満点。左右様の筋肉バリバリの物理バトルは見ていて気持ちいい。
人間が絡む戦いは心理戦が混じるため、次はどうなるのかと続きが気になって飽きない。
人間キャラの戦い方もキャラによって個性があって、性癖を刺激されまくる。ユルは弓・ナタ。ジンさん、デラさんは銃火器。高い技量で刀型ツガイを使うイワンなど。
私はジンさんやデラさんのように銃火器を使うスタイルが大好物。ハンドガンを構えてる二人はカッコいい。
特に、手長足長戦でのデラさんのライフルでの狙撃はカッコよく、迫力もあるので必見。狙撃スタイルのデラさんカッコよすぎる。しゅき。(4巻で見れるよ)
出典:『黄泉のツガイ』©荒川弘/スクウェア・エニックス
↑イワン
イワンは二刀流で、強者感溢れる戦闘を見せてくれるので最高。(本格的な活躍は5巻以降から)
魅力的な「ツガイ」たち
出典:『黄泉のツガイ』©荒川弘/スクウェア・エニックス
ツガイとは「妖怪」や「異形」、「対なるもの」と呼ばれる存在であり、個体によって様々な能力を持つ。
ツガイは神様、民間伝承、童話、物などから対となっている存在がモデルになっている。
例えば、左右様は名前の通り左右、そしておそらく二つで一組の狛犬がモデルで、ガブちゃんの使うガブリエルは上顎と下顎など。
二つで一組というのは意外と幅が広く、登場するツガイがなんなのか考えるのが楽しい。
デザインも左右様のような人間態に近いものから、元のモチーフ通りのうさぎと亀のままのものだったり多種多様。妖怪などもモチーフに入ってるため、少しおどろおどろしいデザインのツガイもいて、必ず誰かの癖を刺激すると思う。
もちもちもふもふのもたくさんいて、ツガイが欲しくなってしまう。しかし、見た目が可愛くてもやはり人外なので、能力は恐ろしいものがあったりする。そのギャップもたまらない。
私のお気に入りは、前虎後狼(猫と犬)と狐狸変化(狐と狸)。私は動物型に弱い。特に猫系。爪立てられたい。
かっこいい系はバリバリの異形系である金烏玉兎。本格登場は5巻末からなので、ネタバレ防止に詳しくは語たれないけれど、シルエットもデザインも素敵。
シンプルでカッコいい・可愛いキャラ
出典:『黄泉のツガイ』©荒川弘/スクウェア・エニックス
本作のキャラデザインは情報量が少なくて、いい意味でシンプル。なのに、しっかり印象に残る秀逸なキャラたちがカッコよくて可愛い。
昨今の能力系バトル者はデザインが煌びやかで派手目なキャラが多い印象がある。なんというか、キャラの情報量が多い。もちろん、それが悪いわけではない。情報量が多いキャラも私は好き。
ゴテゴテに装飾が多いキャラもカッコいいけれど、ユルやイワンのようにシンプルで動きやすさ重視の服装は本当にカッコいい。イワンの黒いピチピチTシャツにズボン、黒ブーツ、二刀流なんて老若男女問わずみんな大好きだと思っている。
荒川先生は女の子を肉付きよく描いてくださるので、どのキャラも眼福の極み。細いとご飯食べてないみたいだもんね。みんなご飯食べてて偉い。
出典:『黄泉のツガイ』©荒川弘/スクウェア・エニックス
↑ガブちゃん
私が女の子で一番推しなのはガブちゃん。三白眼、チビ、三つ編み、赤フード、ツンツンだけどアサ大好き、裏稼業どっぷり、ガブリエルに謎センスの名前をつけている。どこをとっても可愛い。荒川先生ありがとうございます。
テンポのいいコミカルな会話
出典:『黄泉のツガイ』©荒川弘/スクウェア・エニックス
荒川先生は前々からテンポのいいストーリー展開とトントン進んでいくキャラの会話を描くのがとても上手だったが、今作でも遺憾なく発揮されている。
『黄泉のツガイ』はテーマ的には少々重めなのだが、コミカルな会話で進んでいくため、重々しい気持ちにならず読める。
戦闘の最中でもぽんぽんとコミカルな会話が出てくるので、読んでいて吹き出してしまうことも。どんなクール系キャラもこのコミカルからは逃れられない。もっとやってください。
アサの「兄様大好き」が発動して、隙あらば「兄様兄様」とユルへの親愛(執着?)が溢れ出て、それをユルが突っ込んだり、周囲が呆れたりするのが好き。
しかし、コミカルシーンがたくさんあっても締めるところはしっかり締めてくれる。むしろ、普段コミカルだからこそシリアスなシーンが際立つ。
コミカルとシリアスの落差はあればあるほど美味しいし、シリアスシーンが胸に刺さる。
絆や裏切りによる丁寧な心理描写
出典:『黄泉のツガイ』©荒川弘/スクウェア・エニックス
『黄泉のツガイ』は家族、兄妹、主従などの絆関係の描写と、身近な人達からの裏切りなどが強調して描かれている。
ユルは運命の双子の片割れで「封」という特別な力を持っていて、手に入れたい村の住人たちに騙されていたため、それを知って以降は敏感になっている様子が見えるようになる。まだ16歳の子どもが生まれたときから信じていたものに裏切られていたという事実を軽く流さず、それについて引きずっている描写がとても丁寧でユルに感情移入してまう。
同時にアサとの双子ならではのお互いへの信頼の強さは見ていて安心できる。ユルが敵の言葉で感情的に揺さぶられても、アサの言葉を思い出すことで冷静さを取り戻したりする姿は兄妹の絆を感じる。
さらに、ツガイと主の主従関係も良い。ツガイは人ではないけれど、きちんとそれぞれ感情を持っている。お互いに気持ちを通わせて、信頼関係を築いて戦う姿はとてもカッコいい。
騙してしまっていた側の心情描写も心にくるものがあって、騙していたから悪ではないというのが本作に深みになっていると思う。
張り巡らされている伏線の数々
出典:『黄泉のツガイ』©荒川弘/スクウェア・エニックス
『黄泉のツガイ』は細かい描写に伏線が仕込まれていて、回収されたときに「そういうことだったのか!」と驚くことも少なくない。
私は大きく出されている伏線よりも、細かい描写に含まれている伏線を回収されたときの方が気持ちいいと感じるタイプなので、本当に楽しい。
伏線について細かく語ってしまうととんでもないネタバレになるので、詳細は伏せる。
本当に自然な流れで描かれているので、とても細かく注意深く見ないと気づかないので、初見で違和感持てる人は凄いと思う。
ぜひ本編を読んで、きれいな伏線回収で気持ちよくなってほしい。気持ちよすぎて飛ぶ。
子どもを子どもとして扱う大人の存在
出典:『黄泉のツガイ』©荒川弘/スクウェア・エニックス
少年漫画というジャンルの主人公の多くは未成年で、本作のユルも16歳の子どもである。しかし、環境のせいで普通の暮らしを経験することもなく、強い力を利用しようと企む大人から命を狙われてしまう。
アサも同じで、普通だったら学校に通い友達と笑い、恋をする年齢であるはずなのに、人の生死が色濃く絡む世界に囚われている。
大半の大人はまだ子どもであるユルとアサの人生を踏みにじり、天下を取ることを望んでいる。しかし、その中でも双子を子どもとして扱っている大人の存在もある。
この子ども扱いは、子どもだと下に見た扱いをしているのではなく、むしろ子どもを対等な人間として見ていくれているので、尊重してくれているという意味である。
そういった本来されるべき扱いをしてくれる存在というのは、とても安心感を与えてくれる。だからこそ、過酷な環境下に置かれて酷く傷ついてきたアサは心を壊さずにいられたし、ユルもこれからの過酷な運命に耐えられると思う。
正直、子どもを過酷な環境に置いて平気な顔してる大人には「うーん」と思う年齢に私がなってきたので、子どもを個人として尊重してくれる大人がいる作品は本当に安心できる。
荒川先生の作品には必ずこういう大人のキャラがいるので、毎回安心して読める。『鋼の錬金術師』のマスタングとかアームストロング少佐とか安心感の塊だったもん。
まとめ
『黄泉のツガイ』は少年漫画の王道を踏襲しつつ、荒川先生らしいコミカルかつ大胆なバトル、魅力的なキャラたちを堪能できる面白い作品。
まだまだ、謎もたっぷり残っていて、これからも楽しみ。
荒川先生の作品が好きな人なら絶対に楽しめること間違いなし。触れたことがない人は、この作品をきっかけに触れてみるのもいいと思う。
今後も『黄泉のツガイ』関係の記事を書きたいと思っているので、また見てもらえたら嬉しいです。
荒川弘先生の作品についての記事は以下も書いているので、よろしかったら合わせてどうぞ








